2012/04/19(Thu) 16:56
初のコナン小説!
Kコです
"もしもパンドラが黒の組織のところにあったら"という設定
ようやく見つけた目的のもの。
月明かりに照らして確認する。
「まさか、こんなところにあるとは…」
「思わなかった、か?」
持っていたもの−奪った宝石−をポケットにしまい込み、自分の言葉を拾われ、続きまで言われた相手をみる。すると、所々に傷を作った彼が座り込んでいた。
「おや、もう用はすんだのですか」
「あぁ…」
そっと視線を外し、名探偵の持っているものに目を落とす。
「それが解毒剤のデータ?」
「そうだ」
「……戻っちまうんだな」
「あ?」
あまりにも小さかったつぶやきは聞こえなかったらしい。けどこれ以上言うつもりもないし、名探偵も聞こうとしなかった。
「名探偵」
「なんだよ」
「いえ、何でもありません。それよりも、長居は無用ですよ」
「わぁってるよ」
これ以上ここにいては捕まってしまう確率がグっとあがってしまう。
言えば、彼はめんどくさそうにしながらも立ち上がる。
あれからどれくらいたったのか。1週間かもしれないし、3日かもしれない。
工藤新一から呼び出された。よりにもよって場所は米花ビルの屋上。彼と、名探偵と初めて出会った場所。
「何ですか、人を呼び出して。工藤探偵」
「きたか。この姿になってからは初めてだな」
そう。そこにいたのは自分が愛した名探偵、江戸川コナンではなく、工藤新一。
もとが同じ人間だとはわかっていても、自分にとっての名探偵は江戸川コナンであって工藤新一ではない。2人は全くの別人なのだ。
「………」
「話ってのはな、」
「貴方の話を聞くためにきたんじゃありません」
聞くつもりなんかない。名探偵の存在を消した人間の言葉なんて。愛しい彼を奪った男の言葉なんて。
「なっ」
「今日は確認しにきたのです」
「確認?」
「えぇ」
「で?確認できたのかよ」
「もちろん」
自分にとって、江戸川コナンがどんな存在だったのか、工藤新一と江戸川コナンは別人か同一人物かの確認。
やはり工藤探偵は名探偵ではなかった。自分にとって名探偵は彼だけなのだ。なら、もう彼のいない世界に用はない。
それに、目的を果たしたのだから、怪盗キッドは必要ない。
「キッド…?」
「さようなら、工藤探偵」
「待ちやがれっキッド!!」
聞こえてきたのは愛しい少年の声。
「っへ!?」
幻聴かと思いつつ、確認のために振り向く。
「めい、たんてい…?」
「他の誰に見えんだよ」
そこにいたのはもういるはずのない彼だった。見覚えのある、少しふてくされているような表情。こちらを見据える瞳。そして声。
すべてが彼の存在が本物であることを物語っている。
「俺の話ってのはコナンのことだったんだよ」
工藤探偵はそう言って屋上を去って行った。
駆け寄って抱きしめてその存在を確かめる。
「めいたんてい」
「んだよ」
「めいたんていめいたんていめいたんていめいたんていめいたんてい……また、会えた」
「バーロー。泣いてんじゃねーよ」
言われて初めて気がついた。頬を触ってみると確かにぬれている。そして最近感じていた空虚さがなくなって、満たされた感じがする。
「それほど、会えて嬉しかったんですよ」
「ふんっ」
鼻を鳴らしてそっぽを向いてしまった。耳が赤くなっていることから照れているのだとわかり、それだけで、幸せだと感じる。
「名探偵、愛してますよ」
「…………」
耳元でささやけばさらに赤くなって顔をぐりぐりと胸に寄せてくる。
なんて愛らしいんだろうか。
でも私は知らなかった。私たちが幸せを感じている後ろで、もういなくなっていたと思っていた工藤探偵が陰から切なそうにこちらを見ていたなんて。
END
あとがき
とりあえず続きます!
別々の存在になったコナンと新一。
次はキッドと快斗です!
目的を果たしたらコナンはどうなるのか、キッドはどうするのか。
普通に考えたらコナンは新一にもどるし、快斗もキッドをやめるんだろうな、と、それでキッドとコナンの関係は終わりなのかと思ったらなんか切なくなって書いたこの小説。
終わらないようにするにはコナンと新一、キッドと快斗。それぞれを別の存在にしちゃえばいいや!みたいなノリです。はい。
今回は新一が空気となってしまった。
ま、次は新一のターンだからね!
では、ここまで読んでくださった方ありがとうございました!